「序章〜人はなぜ旅をするのか」では、旅によって人は何を得るのかを考えた。
旅行って、移動が疲れるし、ゴミを出して、地元の人に迷惑をかけて、地球温暖化まで促進してしまう…。
そんなモヤモヤを解消して、エコでサステイナブルな旅行をしたい!
では、具体的に、どのようなことを心がけて、旅行すればいいのだろう?
どうすれば、旅をしながら、心からの感動と癒しを得ることができるのだろうか。
身軽に旅する
不要な服や荷物は、持って行かないこと。
荷物が軽ければ、飛行機の燃料が軽減され、二酸化炭素排出量が削減できる。
下着や服は最低2セットあれば、ホテルの石鹸で洗って乾かせば大丈夫だ。
ボディーソープで、服を着たまま体ごと洗ってしまっても良い。
麻紐を5メートルと洗濯バサミをいくつか入れておけば、部屋のどこかに紐を張って干すことができる。
ボディーソープや石鹸などのない宿泊施設であれば、現地に着いたら、固形石鹸を一つ買うことをお勧めする。
これで、髪も体も手も服も洗える。
ハイシーズンを避けて、長期滞在する
日本人は休みが少なく、その休みもお盆や正月に集中している。
しかし、今後テレワークや在宅勤務で、時間の使い方がより自由になってくるだろう。
ならば、人の多い時期は、感染対策の面からも避けて、人の少ない時期に旅行できると良いだろう。
それから、長期滞在は、短期滞在よりお金がかかるかというと、そんなことは決してない。
長期滞在なら、短期滞在のホテルとは違った、地元のシェアハウスやAirbnbの民泊、地元の教会の宿泊所、地元に暮らす日本人の運営するホステルなどで、長期の割引が存在する。
もし、テレワークで働けるのであれば、せっかく行くのだから、長く滞在することをお勧めする。
台所のある家を借りてみる
台所のある家を借りて、地元の小売店やスーパーで買い物をし、家で料理をする。
どこに行っても、人間がすることは、基本的に同じである。
買い物をし、料理し、食べて、排泄し、働き、仲間や家族と時間を過ごす。
その中で、地元の人のやり方を尊重して、真似てみることで、新しい発見があるだろう。
料理をする時は、大家さんなどに、地元の料理を教えてもらうのも楽しい。
ホテルでの食事より、よっぽど新鮮で伝統的な、地元の味が楽しめることもあるのだ。
買い物も、スーパーよりも小売店でしてみると、店主のオススメを教えてもらえるだろう。
料理の仕方だって、例え言葉が通じなくても、喜んで教えてくれるかも知れない。
地元の人を尊重する
まず、その国の言葉をいくつか覚えてみよう。
言葉を知っているというだけで、現地の人はとても喜ぶし、尊重されている感じがするものだ。
ちゃんと、彼らの文化や言葉を知ろうとしているという姿勢を見せることが大切だ。
ただ、何の興味もなくやってきて、表面的な観光だけして、写真を撮ってインスタにあげ、散々ゴミを残して去って行く観光客になってはいけない。
「ありがとう」「こんにちは」だけでもいいから、買い物や助けてもらったときに、使うこと。
日本人は、とても優しいソフトな笑顔が海外の人からも好感を持たれることが多い。
こんな時こそ、日本人らしく、礼儀正しく振舞うことで、その人にとっての「日本」の印象はとても良いものになるだろう。
逆に、たまたま出会った日本人が悪印象だったら、それはその人にとっての「日本」のイメージになってしまうことも、覚えておこう。
お土産には、本物の工芸品を買う
観光地には、必ずと言って良いほど、お土産屋さんというものがある。
その土地の伝統工芸や、職人の品をショッピングするのは、旅の楽しみの一つだ。
でも、ニセモノもたくさんあることを覚えておこう。
安いからといって偽物を買ってしまえば、本当の伝統工芸の職人は仕事を続けていけなくなるかもしれない。
本物のローカルな品には、シールなどで分かるようになっていることもあるので、レプリカを買わないようにしよう。
これからも、この素晴らしい技術や工芸品を、守っていきたい。
そんな気持ちで、お金を払えるお土産を、買っていって欲しい。
ゴミ出しを守る
地元の人が、観光客に不満を抱きやすいのが、ゴミの出し方である。
その点、日本人はきっちりしているので、世界のどこに行っても礼儀正しいと言われる所以でもある。
現地のルールをしっかり確認して、それに従おう。
日本人のやりがちな間違いは、良かれと思って何でもビニールに入れたりすることだ。
しかし、生ゴミはそのままコンテナに入れたり、缶やビンも、そのまま入れておけば良い場所もある。
オーストリアのように、生ゴミは袋なしで共同のコンテナで回収し、堆肥化している地域もある。
日本に帰っても活用できるアイディアも見つかるかも知れない。
そして、ペットボトルなどは使わない方がいいが、使ってしまったらきちんとリサイクルしよう。
ペットボトルを買わない
場所によって大きく違うが、水道水を飲める地域は日本以外にもかなりある。
しかし、慣れないとお腹にくることもあるので、無理してはいけない。
私はヴェネチアでは、街の至るところに流れている蛇口の水を、マイボトルに給水して飲んでいた。
ペットボトルに入っているのと同じ水なので、結局同じことである。
水の街に来る人には、水に対する敬意を持ってもらいたい。
ペットボトルは温暖化につながり、ヴェネチアの水没を早めることになる。
また、観光客の出すペットボトルのゴミの山で、美しい街が溢れかえるのを、地元の人は冷ややかな目で見ている。
ただし、当然だが飲用水以外は飲んではいけない。
国や土地によってレベルは様々なので、よく事前に調査してみるといいだろう。
水を大事にする
日本人は、水を使いまくることで知られている。
毎日髪を洗うなんて、世界ではあまりないことだし、シャワーの時間も長い。
それに、日本人は、タオルやシーツもすぐに洗いたがる。
しかし、現地の人は、下手すると1ヶ月くらいはバスタオルは洗わないかも知れない。
例えばオーストラリアは、水不足なので、家庭の水の使用量にも制限がある。
そのオーストラリアのホテルで、いくら使用制限がなくても、観光客が水をジャンジャン使っていたら、現地の人はどう思うだろうか?
そのせいで、山火事が起きて、地元の人や動物が生活さえできなくなるかも知れない。
ホテルで、タオルやシーツの交換を断るエコフレンドリーポリシーがあれば、それを利用してみよう。
そういうエコフレンドリーなホテルを最初から選んでもいいし、オプションとしてタオル交換をなしにすることもできる。
または、「タオル交換不要」の札をバスルームに置いておくこともできる。
自転車や電動キックボードをレンタルする
https://www.flickr.com/photos/magical-world/ – https://www.flickr.com/photos/magical-world/3059161558/in/set-72157607828562998/, CC 表示-継承 2.0, リンクによる
とにかく、タクシーを使わないと決めると、色々と冒険することになる。
切符を買おうとしても場所がわからなかったり、時間がわからなかったり。
公共交通機関では、スリにも要注意だ。
歩くのには治安が悪くて危険であれば、タクシーを使うのも選択肢だ。
でも、公共交通機関を使うことで、助けてくれる現地の人に出会えるかも知れない。
地元の観光バスや、船など、観光客向けのものなら、安くて効率よく移動できる。
もし自転車や電動キックボードの貸し出しがあれば、移動の時間も楽しめる。
三密を避ける意味でも、レンタルできる物がないか、聞いてみるといいだろう。
まとめ
団体のツアーで、さーっと各地の観光名所を巡り、表面的に写真をいっぱい撮って、地元の人と一言も話さなくても、旅行はできる。
だけど、それでは「序章〜人はなぜ旅をするのか」に書いたような、自分の細胞と価値観を揺さぶるような旅はできない。
時間も手間もかかるけれど、長く滞在してみよう。
地元の言葉や歴史も少しかじって、人と話をしてみよう。
観光だけでなく、そこで「生活」する気持ちで、新しい自分を見つけよう。
それがエコな旅行へとつながってくる。
エコという観点は、今後の我々の生活の大きな部分を占めてくるだろう。
感染症だって、もともとは環境破壊が原因で起こっている。
綿毛のように、羽アリのように、世界を飛び回る私達の、美しい地球を守って行こう。
コメント
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[…] 本編「サステイナブルな旅行のしかた」では、具体的にどうやったらサステイナブルでローカルな旅行ができるのか、提案した。 […]
[…] 本編「サステイナブルな旅行のしかた」では、具体的にどうやったらサステイナブルでローカルな旅行ができるのか、提案した。 […]