EU 復興基金 7500億ユーロ 合意へ

7月21日未明、5日間に渡るマラソン会議の後、EUはやっとのこと合意にこぎつけた。

結果として、3900億ユーロ(約48兆円)が返済の必要のない助成金として、また3600億ユーロ(約44兆円)が低金利融資として、各国に配当されることになった。

被害の大きかったイタリアは、助成金と融資を合わせて、一番多い2090億ユーロ(約26兆円)を受け取る。

コロナ大流行から、現在まで

イタリアのコンテ首相は、3月の段階から、EUからの経済的支援を求めてきた。

4月23日に、テレビ会議で各国首脳が基金設立について話し合ったが、ドイツをはじめとする、被害が比較的少なく、経済的に強い国の合意が得られなかった。

しかし、5月18日、状況は一転する。

フランスとドイツがテレビ会議を行い、5000億ユーロ (約58兆円)のEU基金設立を共同提案することで合意したのだ。

EU全体で借金をしてイタリアなどへ補助金に回され、30年かけてヨーロッパが共同で返済する、事実上のコロナ債である。

そして5月27日、EUの委員会は、7500億ユーロ(約88兆7500億円)規模のコロナ債を発行し、「Next Generation EU(次世代EU)」という基金を作るすることを提案した。

5月27日当時の提案では、7500億ユーロのうち5000億ユーロが助成金として、2500億ユーロが融資とされていた。

イタリアは緊急助成金として820億ユーロ、910億ユーロの融資で、合計1730億ユーロ(21兆円)を受け取るとされていた。

ただし、この実現にはEU加盟国27カ国全ての承認が必要であった。

そして、この合意に漕ぎ着けるための、コンテ首相の奔走が始まる。

コンテ首相の奔走

6月19日、各国首脳はビデオ会議を行い、7月中にはEU基金に関する決定をすることで合意した。

7月7日には、ポルトガルへ行き、次回の欧州評議会に向けてアントニオ・コスタ首相と会談した。

翌日、7月8日には、スペインへ行き、ペドロ・サンチェツ首相と会談。

特にスペインは、イタリアと同様にコロナによる大きな打撃を受けており、EU首脳会議に対して、結束して復興基金を求めていくため、強く手を取り合った。

7月11日には、オランダでマルク・ルッテ首相と会談。

オランダは、スペインやイタリアと反対で、EU復興基金の発行に反対していた。

オランダ、オーストリア、スウェーデン、デンマークは自らを「倹約4カ国」と呼び、コロナによる被害も比較的小さかった国々だ。

そのリーダーのオランダはいわば、EU復興基金を作る上での、イタリアの宿敵であった。

7月14日には、ドイツでアンジェラ・メルケル首相と会談。

ドイツは、初めはEU共同基金の設立に消極的であったが、5月には基金の設立をフランスと共に提案した。

ヨーロッパのリーダーとも言えるドイツとの合意は、このEUの巨額な経済政策の決定には欠かせないものである。

この一番重要な会談を最後に、コンテ首相は7月17日、EU首脳会議に臨んだ。

7月21日 EU共同基金の合意

7月17日、コロナ感染拡大後初めて、EU各国首脳は対面での会議を行った。

前述の倹約4カ国は、比較的規模の小さい国であり、ヨーロッパの中での声は、一つ一つだと小さいものだ。

しかし、4カ国で結束し、交渉に臨んだ。

倹約4カ国は、助成金の額が多すぎるとし、全て返済する低金利融資にすべきだと主張した。

被害の大きかった南欧の一つであるフランスのマルコン首相は、倹約4カ国の反対に対し、机を叩いて強く主張する場面もあったという。

特に、倹約4カ国代表のオランダと、最も被害の大きかったイタリアの間では、長い議論が行われた。

結果として、助成金は5000億ユーロから3900億ユーロに減額。

融資は2500億ユーロから3600億ユーロに増額された。

総額の7500億ユーロは変わらないが、返済の必要のない助成金の割合は減り、低金利の返済の必要のある融資の割合が増えることとなった。

加盟国は、自分の国に配当された金額を2021年から2023年の間に使うことができるが、どの様に使用するのかを計画し、議会に書類を提出しなければならない。

そして、もしもその約束の実行状況に対して異議が有る場合は、助成金の差し止めなどの審議ができるシステムも加えられた。

会議は90時間以上に及んだと言われ、当初予定されていたより長い5日間かけて、7月21日、ようやく合意にこぎつけた。

お金の使い道

各国に配分されるお金の使い道についても、気候変動対策経済のデジタル化などに重点的に投資していくことで合意した。

7500億ユーロのうち、28%にあたる2090億ユーロ(約26兆円)がイタリアに配当される。

イタリアのお金の使い道について、まだ詳しくは決まっていない様だが、大枠についてコンテ首相が動画で語っている。

「イタリアをより環境に優しい国に、よりデジタル化された国に、より先進的な国に、そして持続可能な国に」するための資金とするという。

そのために、「教育、大学、研究、そして社会インフラに投資していく」と語っている。

返済方法

EU議会は、各国が融資を返済するために、環境税とデジタル税を徴収し、それを返済に当てることを期待している。

環境税とは、二酸化炭素を排出する時に払われる炭素税や、プラスチック課税などが検討されている。

また、デジタル税とは、巨大IT企業などの、各国にまたがってインターネット上で利益を上げる企業が、十分に税金を納めていないので、国際的なIT企業から適切に課税をしていくための制度である。

どうせ立ち上がるのなら、ただでは起きないところが欧州評議会の作戦だ。

この危機を、環境問題やデジタル経済の改善のために、役立てようというのだ。

 

 

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