共和国のエンブレム
イタリア共和国のエンブレムは、1946年に市民からの公募を募り、800の応募作の中から、1948年に選ばれた。
このシンボルには、星、歯車、オリーブとオークの葉がモチーフになっている。
オリーブの葉は、国内の調和と国際的な助け合いの中での、平和を希求する心を表す。
オークの葉は、エンブレムの右側を囲み、イタリア国民の強さと尊厳を表現する。
両方とも、イタリアの愛国を象徴する植物である。
金属でできた歯車は、労働を表す。
イタリア憲法の第一条「イタリアは、労働に基礎を置く共和国である」という理念を表現している。
星はイタリアを象徴するシンボルとして、古くから親しまれ、擬人化された「イタリア」の頭上に輝いてきた。
イタリア統一運動(リソルジメント)の象徴とされ、1870~1890年の間に使われたイタリア王国の紋章のモチーフとしても登場した。
イタリア共和国記念日とは
イタリア共和国記念日は、イタリア共和国の誕生を祝う国民の休日である。
毎年6月2日に、1946年の国民投票を記念し、また同時にイタリア統一の立役者であるジュゼッペ・ガリバルディの死を記念して、主にローマで式典が行われる。
ローマの式典では、イタリア首相から身元不明のまま死んでいった無名の兵士を偲んで、月桂樹の冠がヴェネチア広場の祭壇に捧げられる。
また、ローマのフォーリ・インペリアーリ通りでは、軍事パレードが行われる。
これは、京都の歴史祭りのような感じで、軍服や山岳隊、看護師などの行進を見るため、観光客もたくさん訪れる。
その他のイタリア各地でも、フレッチェ・トリコローリという、イタリアの三色旗の飛行機雲を描く飛行演習が行われる。
1946年の国民投票
1946年の6月2日と3日にかけて、イタリアを王政か共和国のどちらにするか、国民投票が行われた。
この国民投票は、イタリアで初めての平等選挙で、ある一定の年齢以上であれば、職業、性別、人種、社会的地位などの制約を受けないものであった。
投票の結果は、12717923票が共和国、10719284票が王政を支持し、54%:46%という僅差であった。
サボイア・ウンベルト2世は、共和国派と王政派の間で、血で血を洗う争いが各地で起こったことを受け、6月13日に、ポルトガルに亡命した。
その後制定された共和国憲法により、ウンベルト2世の子孫の男子は、イタリアに入国することを禁じられたが、2002年に解禁された。
ポルトガルでは、穏やかな余生を過ごし、沢山の子供にも恵まれたという。
現在、孫の一人であるエマヌエーレ・フィルベルトは、イタリアメディアに多数登場し、お茶の間アイドルとして人気を博しているらしい。
トリノでの軍事パレード
初めてのイタリア共和国記念日の式典は、1947年に開催され、翌年の1948年には、ローマのフォーリ・インペリアーリ通りで初めての軍事パレードが行われた。
しかし、例外として1961年だけは、式典はローマではなくトリノで行われた。
これは、100年前のイタリア統一の際、当時の首都であったトリノで、100周年を祝うためである。
その後イタリアの首都は、トリノ、フィレンツェ、ローマと遷都し、現在に至る。
今年はコロナウイルスの影響で、ローマの軍事パレードは行われない。
その代わり、5月25日から6月2日まで、全ての州(20州)の州都の上空で、フレッチェ・トリコローレ(3色旗の飛行演習)が行われた。
最終日の今日、6月2日共和国記念日は、ローマで最終飛行を迎える。
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